インプラントは外科手術であるため、
リスクがあります

インプラントはさまざまな知識や技術が必要な治療です。治療技術や知識、経験だけでなく、補綴の知識、解剖学的な知識、医科との連携…と、総合的な力が必要です。さらに、安全性を高めるための衛生管理や治療環境、設備・機器も欠かせません。

また、治療に携わる全てのスタッフが、インプラントに関する知識・技術を習得していなければならず、歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士・歯科助手が、それぞれに専門性を高め、高い意識を持って、チームとして治療に当たることが大切です。
このような、さまざまな条件を満たすことが、安全でリスクの少ないインプラント治療につながります。

インプラントは安全性の高い治療と言えますが、外科的手術が必要になる以上、リスクが全くないとは言えません。それを知ったうえで、治療法を選択することが必要になるでしょう。

インプラントにはリスクがあると言いましたが、治療部位によってはリスクが高くなります。自分の場合は、どのようなリスクがあるのかを把握することが必要でしょう。
インプラントのメリットだけでなくデメリットも知ったうえで、治療法を検討することが大切です。

当院では、リスクなどデメリットを含め、インプラントを正しく理解してもらってから治療に臨んでいただきます。インプラントの良いところばかりを説明する医師も少なくないようですが、その辺りも医師選びの指標となるかもしれませんね。

部位で異なるインプラントのリスク

治療部位によってリスクは異なります。リスクの高い部位では、十分な検査や専用ソフトを使用したシミュレーションなどにより、リスクを低減することが必要となります。

上顎 上顎は顎の骨が薄いケースが多いです。顎の骨を増やす治療を行わなければ、インプラントと骨が十分に結合しない・周囲の組織を損傷しやすいといったリスクがあります。
下顎 下顎の骨には、大きな血管や神経が通る「下顎管」があります。下顎管を損傷すると、麻痺が残ったり、大量出血を引き起こしたりします。
前歯 前歯部は骨や歯肉が薄い場合が多く、埋入したインプラントが透けて見えたり、インプラントが露出したりする場合があります。
奥歯 上顎奥歯部分は、歯槽骨の奥に上顎洞という空洞があり、骨吸収が起こりやすく十分に骨幅がないケースも多いです。上顎洞の粘膜を損傷してしまうと、炎症を起こしてしまいます。

インプラントが失敗するリスクファクターとなり得る疾患には、歯周病、糖尿病などの全身疾患が挙げられます。
全身疾患の既往がある場合、主治医との連携が重要になります。リスクを低減するには、医科と連携を図り、全身疾患を考慮して治療を進めることが必要です。

また、歯周病の患者様は、インプラント治療前に適切な歯周病治療を行う必要があるほか、治療後の歯周病コントロールも大切です。歯周病の人のインプラントはリスクが高いため、長期的に使い続けるためにはモチベーションを維持し、適切なセルフケアを続けること、最適な頻度でプロフェッショナルケア(歯科で行うメンテナンス)を受けることが必要になります。
歯周病の人は、歯周病の専門的知識・技術を持ち合わせた医師のもとでインプラント治療を受けることをおすすめします。

「インプラント治療をトラブルなく終えた」というだけでは、本当の意味での成功とは言えないでしょう。機能性や審美性も追求することが必要です。
安全な治療はもちろんのこと、天然歯のような見た目や噛み心地を兼ね備えていなければなりません。

「見た目が自然な歯を入れたい」「噛めるようになりたい」という患者様の希望に応えられなければ、治療が成功したとは言えないのです。

治療後のメンテナンスが不可欠です

インプラントを長期的に維持するためには、定期的にメンテナンスを行う必要があります。治療が成功しても、その後のメンテナンスが不十分であれば失敗を招くこともあるのです。
本当の意味でのインプラントの成功は、治療の安全性はもちろん、長期的にインプラントの機能や審美性を維持することにあります。質の高いメンテナンスを最適な頻度で行うことが大切です。

当院では、患者様の希望や悩みを聞き、それに応える治療提供を目指しています。そのため、カウンセリングはとても大切です。
独立したカウンセリングルームで、専門のTC(トリートメントコーディネーター)が患者様の話を聞き、インプラントや当院の治療体制について詳しく説明いたします。

インプラントの他にどのような治療が可能なのかそれぞれの治療のメリット・デメリットどのようなリスクがあるのか、といったことを十分に把握し、治療法を選択することが必要だと考えています。
一度削ってしまった歯は元に戻すことはできません。治療を開始する前に、きちんとしたカウンセリングを受け、納得して治療を始めることが大切です。

不安な場合はセカンドオピニオンを求めるという方法も

「セカンドオピニオン」とは、病気や治療について主治医以外の医師から意見を聞くことです。医師によって考え方が異なる場合、行える治療やその質に違いがある場合もあるからです。
現在、自分が受けようか迷っている治療は、本当に自分にとって最適な治療なのでしょうか…。第三者に意見を求めるということは、納得して治療を受けるために大切なことです。

当院でも、セカンドオピニオンを行っています。治療法の選択で迷っている患者様だけでなく、治療中の患者様のご相談にも応じています。

抜歯が必要になった時、ブリッジを勧める医師もいれば、インプラントを勧める医師もいるでしょう。治療法の選択に納得がいっていない場合や開始した治療に不信感を抱いている場合などに、ぜひご活用ください。